意味という病

「技術は改良と衰退の繰り返しである」

「造形芸術と音声芸術は無意味から出発する」

「人間の世界は意味の世界である。それは曖昧性、矛盾、狂気。あるいは混乱を耐えることはできるが、意味の欠如を耐えることはできない。」

「意味から逃れることの不可能性を認めることは、あらゆる作品 −−− 芸術的なものであれ技術的なものであれーーーを、歴史という均質化作用を持つ世界に閉じ込めることである」

「愛とは、人間に開かれた、合一と参加の状態である」

「詩的創造と詩の体験は歴史の中でなされるものであるがゆえに、それは歴史であると同時に、歴史の否定でもある。」

オクタビオ・パス 「弓と竪琴」(岩波文庫)より

オクタビオ・パス(Octavio Paz)
1914年3月31日〜1998年4月19日

メキシコの詩人・批評家・外交官。
メキシコ・シティ出身。進歩的文化人だった祖父の影響で文学的関心を深め19歳で処女詩集『野生の月』を発表。1937年、内戦下のスペインで開かれた反ファシスト作家会議に参加。翌年に帰国してからは、新世代を代表する作家として精力的な執筆活動を開始する。1944年にアメリカに留学、翌年にはパリに渡る。1946年には外交官になり、ヨーロッパ各国を転々としながら『弓と竪琴』『孤独の迷宮』などを執筆。しかし、メキシコシティオリンピック直前に起こった反体制デモに対する政府の弾圧に抗議してインド大使の職を辞し、その後はケンブリッジ大学やテキサス大学、ハーバード大学などで教鞭を採りながら執筆活動を展開した。ノーベル文学賞ほか多くの賞を受賞し、自身の主宰する雑誌「ブエルタ」(es)も、1993年にアストゥリアス皇太子賞コミュニケーション及びヒューマニズム部門を受賞した。